単球AMラジオコンペ 応募作品と評価結果 (意匠デザイン)
最新改定 2018.May.31 単球ラジオコンペ事務局
<意匠デザインの評価について>

 意匠デザインの評価については電子回路に限らずミニチュアモデル等の自作の世界から産業製品・身近な日用品に至る色々な分野で工業・商業系デザインを手掛け、広い観点と多様な感性で今回の作品を眺める事のできる経験豊富なデザイナ1名にボランティア参加を戴き実施しました。

 単球AMラジオコンペは製品の開発ではありません。 製作者自らの満足を第3者はどのように眺めただろうか、自作品やその製作過程の価値を共通の基準尺度で見ることはでき得ませんから 飽くまで「その人にはどう映ったのか」を評価という形で掲げたと診てください。 


 以下に作品全品について意匠を対象とした評価結果を掲げます。 作品番号をクリックすると飛べます。
   
1a 6a 6b 8a 8b
10 11a 11b 14 15 16 18a 18b


作品番号 : 1a 意匠デザイン
 古き時代のアマチュア無線機の自作の雰囲気が強く感じられるどこか懐かしい作品です。今、一時代を経て若者にも新鮮に映るスタイルです。 特徴は何と言っても大型コイルの存在感であり よりこれを強くアピールするとデザインコンセプトが明確になります。 コイルと反対側を矩形のシールド箱で覆うなどの手段があります。  


作品番号 : 2 意匠デザイン
 8角形ループアンテナとラジオ本体箱という基本スタイルは1930年代の米国の雑誌広告で家族が耳を傾けている姿が浮かびます。 市販の機材、部品をベースに この雰囲気を出している点が特徴です。 サブスピーカはもう少し本体と類似の仕上げにした方が良かったでしょう。  


作品番号 : 3 意匠デザイン
 この作品の基本デザインはデザインクオリティとしては非常に高いです。PWダイアル円盤を音響部に重ねるスタイルがデザイン上のポイントの1つを成しています。これはまた音響ダクト部の容積をより多く充てる性能面からも効果的です。 残念なのは下部の前面サランネットの造作、簡単に手直しできると思います。 またスチールのパンチングメタルなども少し今風になりますが適用すると面白いかも知れません。 いずれにせよ是非とも改修を戴き見てみたいものです。  


作品番号 : 4 意匠デザイン
 電気ががんばっている・仕事している感をアピールしやすい素朴な匂いのする作品です。「木」の使用をもっと徹底しアナログ的な可変機構の楽しさを強調する演出的な要素の付加が望まれます。 一番の動きの楽しさはバンドバーと呼んでおられる可変機構とその動き、実際的な受信での可変はラジオを聴く人ではありますが、コップの縁子さんのようなフィギャーでの動きの示唆やカラクリ人形のような素朴な材料による連動メカによりバーの挿入位置を示すなど出来ると思います。 アクリルのダイアル目盛の材料を木に代えるだけでも雰囲気が変わると思います。  


作品番号 : 5 意匠デザイン
 ラジオと言うより通信機感が全体および細部から滲み出た非常に優れた作品です。 パネル面や内部での配置の上手さ、とりわけ内装スピーカとケースの位置関係は両者一体での音響効果の狙いは見事です。  


作品番号 : 6a 意匠デザイン
 塩ビ材やプラスチック材を起用し身近なイメージで製作された作品です。 サブパネル等にも樹脂板等を使い機構材料系を樹脂材料に徹底するとデザインコンセプトの一つとしてアピール点になるでしょう。  


作品番号 : 6b 意匠デザイン
 この作品は黒色の矩形音響ホーンの存在が大きな特徴です。次の特徴は木質感ですが現状の厚みが薄めの台板は存在感が今一つなので 厚みを今の3倍程とし台場上のマウント部品に合わせた表面の彫り込みや化粧彫刻を施せば断然良くなるポテンシャルが内在しています。 音響ホーンの保持部も台板厚みが増すと段彫りでの面合わせなど一層アピールが増します。  


作品番号 : 8a 意匠デザイン
 非常にまとまりのある作品ですがデザイン中心で前面から眺めた場合 斬新さがありません。 どこか古典的な通信機器のような感じがします。それに徹するなら文字の彫り込みはもっと凝れる要素はあります。スピーカ穴の装飾抜きも古典的な形状になっていますが製作者の家紋とか斬新なものが効果的でした。全体を診て思うのはスピーカのCANダクトや動きのある可動チューニングコア機構など むしろ操作パネルよりインパクトの強い見せる要素が存在する点です。作り込みの技量は抜群ですので次は大胆な発想で斬新さを追求されると完成度が更に高まると思います。  


作品番号 : 8b 意匠デザイン
 8aと同様です。  


作品番号 : 9 意匠デザイン
 この作品のコンセプトは 「ソラを実働させ音を出す」点だと想像しますと 博物館展示品的な様相でその実現が可能そうです。古めのアルミシャーシの中央部にソラが1本立っている。バリコンやトランス等は全部シャーシの内側。アピール材料としては十分な貴少性ですので何かしらの演出で印象的な作品になると思います。  


作品番号 : 10 意匠デザイン
 スピーカ部の処理に残念なところはありますが全体感としてそのデザインに高いポテンシャルがあります。古典的ではありますが 要素としてアクリル材で今風雰囲気を出した廻るループアンテナ、ボックス型にした音響ダクト部が特徴を持ちます。作品番号3のような一体箱としてデザイン主眼で再考される非常に良くなると思います。  


作品番号 : 11a 意匠デザイン
 本作品のビジュアルは色々な方からも高い評価が得られるでしょう。 材料選択、配置、加工、あらゆるステージでの熱意が伝わって来ます。 筆文字表記も効果的です。  


作品番号 : 11b 意匠デザイン
 台板の板材とその仕上げが同じ作者の作品11aを見ていることもあり残念な要素です。 ツインスピーカは今回ただ一つこの作品のみであり 単純な並列吹鳴だけでない面白い機能があればアピールできたと思います。 連続交互に鳴るモードとかを単球の制限内で実現させる、技術的にも高い評価が得られるでしょう。  


作品番号 : 14 意匠デザイン
 鉱石ラジオ+高増幅度アンプ なる構成の特徴をもっとビジュアル面でも見せつけると特徴アピールの点で効果がありました。 たとえばシャーシ短辺を前にして手前に同調コイルと鉱石と特殊真空管、シャーシ奥側にトランペットスピーカといった配置、真空管シールドは可能な限り内部が見えるまでの切り欠きを施す、と言った感じです。  


作品番号 : 15 意匠デザイン
 4、50年前の自作品の匂いがする作品です。 作者は このコンぺ以前にも同様スタイルの自作品を数多く作られているようですので 今回に限らず一つの永続的コンセプトとして 量産時代の一手法であるモジュラデザインを構成に適用した展開をされるとおもしろいと思います。 コイルモジュール、バリコンモジュール、単球モジュール、等々とその実装機構の統一化です。 モジュールレベルの構成品自作だけでも深みがあります。  


作品番号 : 16 意匠デザイン
 この作品の特徴はユニークさにありますが もう一歩虫さん感を演出すると更に良くなったと思います。回路図は普通に蓋に貼るのではなく 虫さんの背中面文様を模した変形で標記するとか、端子名は虫世界の記号を定義するとか、深掘りが効果的です。  


作品番号 : 18a 意匠デザイン
 素人感のない非常に完成度の高い作品です。  


作品番号 : 18b 意匠デザイン
 18a同様に 素人感のない非常に完成度の高い作品です。  





改定来歴:
 2018.May.31 作成