かご型フォールデッドモノポールアンテナ(その2)      最新改定 2021.Oct.18 JH3FJA

 ここでは かご型フォールデッドモノポールアンテナ(その1) でのいくつかの文献からの知見をもとに アマチュア無線用タワーを中心導体として用いる160mバンドのフォールデッドモノポールアンテナを設計しシミュレーションで特性を眺めています。

22mタワーでNHKかご型風を構成 第2共振点を使う構成 外部導体2条のシンプルスタイル化

22mタワーでNHKかご型風を構成

全体姿 上部  タワーを中心導体として4本の外部導体を付加しNHKかご型空中線風に構成してみます。

左図がスタイルです。 あまりに縦長なので長手途中を抜いてあります。
 中心導体 : 高さ 22m、1辺 50cm、鋼管組み四角タワー
 外部導体 : 長手4本 Φ8mm銅線
 上下端枠 : 対角長3m矩形型枠、Φ40mmアルミ管
 上端部放射状導体 : Φ8mm銅線
 ローディング線 : 特段設けずタワー上アンテナの7.6m長ブームのみ想定
 ローディングコイル : 同調手段として設ける
 給電点整合 : リアクタンス補償を行う

全体姿 下部 主たる高さ位置は次の通りです(括弧内数字はワイヤタグ番号)。
 グランド(基準) : EL 0.0 m
 外部導体下端枠 (13,14,15,16) : EL 1.5 m
 タワートップ (13,14,15,16) : EL 22 m
 外部導体上端枠 (5,6,7,8 etc) : EL 23 m
 上層アンテナブーム (990,991) : EL 23.5 m


ローディングコイル無しローディングコイル(4.08uH)付加給電点補償コイル(49.1uH)付加
Za=419+j475 @1.85MHzZa=425-j569 @1.85MHzZa=446-j8.45 @1.85MHz

 以下に Za=446-j8.45 @1.85MHz での指向性特性、周波数対ゲイン特性、SWR特性、電流振幅分布 を掲げます。
垂直指向性 水平指向性
 左、垂直指向性、右 水平指向性です。

周波数対ゲイン特性 SWR特性(450オーム正規化)
 左、周波数対ゲイン特性、右、SWR特性(450オーム正規化)です。

電流振幅分布
 電流振幅分布です。左の疎に4本ある傾斜の大きな線が外部導体における定在波電流の振幅、右の密に重なった傾斜の緩い線群が中心導体のタワーにおける定在波電流の振幅です。


22mタワーで第2共振点を使う構成

全体姿 上部  アマチュア無線用タワーを中心導体として別の1本の長い導体を地・天・地・天と1往復半 3条に折り返し疑似かご型とした構成です。 IEEE論文の第2共振点を利用する方法はタワー高さが概ね0.2λ(32m高)程度は必要なため 満たないタワー高さでの苦肉の策の構成です。

左図がスタイルです。 あまりに縦長なので長手途中を抜いた図にしてあります。
 中心導体 : 高さ 22m、1辺 50cm、鋼管組み四角タワー
 外部導体 : 長手4本 Φ8mm銅線
 上下端折り返し : Φ40mmアルミ管
 ローディング線 : 設けずタワー上アンテナの7.6m長ブームのみ想定
 ローディングコイル : 同調調整手段として設ける
 給電点整合 : リアクタンス補償なしでの整合を図る

全体姿 下部 主たる高さ位置は次の通りです(括弧内数字はワイヤタグ番号)。
 グランド(基準) : EL 0.0 m
 下端折り返し (20) : EL 1.5 m
 タワートップ : EL 22 m
 上端折り返し (5,11) : EL 23 m
 上層アンテナブーム (990,991) : EL 23.5 m

折り返し点の位置座標は次の通りです(括弧内数字の単位はメータ)。
 ワイヤタグ 5  (0,1.899,23)-(1.899,0,23)
 ワイヤタグ 20 (1.899,0,1.5)-(0,-1.899,1.5)
 ワイヤタグ 11 (0,-1.899,23)-(0,0,23)


ローディングコイル無しローディングコイル(10.0uH)付加
Za=23.5-j113 @1.85MHzZa=39.5-j30.8 @1.85MHz

 以下に Za=39.5-j30.8 @1.85MHz での指向性特性、周波数対ゲイン特性、SWR特性、電流振幅分布 を掲げます。
垂直指向性 水平指向性
 左、垂直指向性、右 水平指向性です。

周波数対ゲイン特性 SWR特性(50オーム正規化)
 左、周波数対ゲイン特性、右、SWR特性(50オーム正規化)です。

電流振幅分布
 電流振幅分布です。右寄りの疎に3本ある振幅が大き目のが外部導体3本の定在波電流の振幅、左の密に重なったものがタワー構造物の定在波電流の振幅です。

< ローディングコイル位置を移したケース >

 タワー上部のマストパイプの途中にローディングコイルを挿入するスタイルは現実的には難儀なので対応しやすい張り出し部(ワイヤタグ 11)にその位置を移し再調整した結果も掲げておきます。ゲイン、SWRともに僅かな変化はありますがこの位置でも対応できます。
ローディングコイルを移した上端部の姿
 左図は ローディングコイル位置を変更した上部の姿です。
伴うチューニングの結果 折り返し点の位置座標は次の通り3本のワイヤがタワーから少し離れた位置です。
 ワイヤタグ 5  (0,2.296,23)-(2.296,0,23)
 ワイヤタグ 20 (2.296,0,1.5)-(0,-2.296,1.5)
 ワイヤタグ 11 (0,-2.296,23)-(0,0,23)


ローディングコイル移動後のインピーダンス
 左図は ローディングコイル移動・再調整後の給電点インピーダンス特性です。
ローディングコイルインダクタンスは 8.19uH
給電点インピーダンス Za=38.94-j6.12 @1.85MHz です。

周波数対ゲイン特性 SWR特性(50オーム正規化)
 左、周波数対ゲイン特性、右、SWR特性(50オーム正規化)です。


外部導体2条のシンプルスタイル化

 かご型風をやめ外部導体を2条とし「中心導体(タワー)+ループ1つ」にしたものを掲げておきます。流石に整合手段なしで給電インピーダンス50オームにすることは難しく200オーム給電としています。50:200オーム変換はバイファイラ巻トロイダルトランスで容易に対応出来ます。
外部導体を2条としシンプル化の姿
 左図は 外部導体を2条としシンプル化した姿です。もはや かご状ではありません。
チューニングの結果 外周矩形ループの角位置座標は次の通りです。かなり幅広です。
 上部の座標  (0.-4,23)、(0,4,23)
 下部の座標  (0,-4,1.5)、(4,0,1.5)、(0,4,1.5)
下部の くの字曲げはもっと浅くてもそれほどの影響はありません。

外部導体2条スタイルのインピーダンス
 左図は 給電点インピーダンス特性です。
上部端2つのローディングコイルのインダクタンスはいずれも 3.0uH、
給電位置に補償インダクタンス 直列45.27uH を挿入し給電点インピーダンス Za=218-j0.55 @1.85MHz です。

周波数対ゲイン特性 SWR特性(200オーム正規化)
 左、周波数対ゲイン特性、右、SWR特性(200オーム正規化)です。

電流振幅分布
 定在波電流の振幅分布です。


END