●PRC-10(A)IF&ディスクリ テストセットの製作

  PRC-10(A)の再生・調整作業において、IFモジュールの再調整はその本数(段数)が多く受信全体ゲインに占める割合が大きいこと、大半のIFモジュールおよびディスクリミネータは経年変化により同調がズレていることから、比較的少ない時間の投入で良い効果が得られる調整作業になります。
  ここでは、これら調整作業を楽しめる様に、PRC-10Aのマニュアル(TM 11-4065A)のCHAPTER 4_REPAIRS にあるテストシャーシと専用改造モジュールをベースとしたIF&ディスクリ テストセットの製作例を御紹介します。

●テストセット本体

<本体回路>
IF&ディスクリ テストセット本体回路図
  上図の通りです。 
オリジナルの回路 からの変更点は次の通りです。
    (1) ハイポットテスト回路 および パルススイープジェネレータテスト回路を削除した。
    (2) 4.3Mc水晶発振回路への+B電源ラインを繋いだ(オリジナル回路図のミス修正)。
    (3) ソケットX3のピン3番をグランドに落とした(オリジナル回路図のミス修正)。
    (4) ディスクリテスト回路をPRC−10、10A両用としオリジナル回路でのミスも修正)。

<本体外観>
テストセット外観
  ジャンク箱を物色し、アンリツの計測器内部のアルミシャーシと裏蓋を使用、電源コネクタもその計測器内部のものです。右下に見えるトグルスイッチが内蔵の4.3Mc水晶発振器のON/OFFスイッチです。

3つ並べたテストCANについは以下で説明しますが、左からテストCAN No.1、テストCAN No.2A、テストCAN No.2Bです。

●テストCAN

<テストCAN No.1>
テストCAN No.1回路図
  テストCAN No.1は、被テストIFユニットの入力に対するドライブ段になります。 信号発生器からの4.3MHz50mVの入力を素直に受けるためモジュール内部の入力共振回路(L101、C101)およびグリッドリミッタ回路(R101、C102A)を撤去します。 グリッドバイアスはテストセットシャーシ側の120Kオームがリミッタ動作なしのバイアス電圧を作り出してくれます。
<テストCAN No.2A>
テストCAN No.2A回路図
  テストCAN No.2Aは、被テストIFユニットの出力に対する負荷および検波になります。検波はシャーシ側の2.2MオームとC102Aの並列とコントロールグリッド・フィラメント間のダイオード特性によるグリッド検波で、検波電流をシャーシ側の2.2Mオームの電圧降下として計測する形になります。 出力側タンク回路の短絡には違和感がありますが、R103を負荷抵抗として、T101の1・2次コイル間のストレーキャパシティを経て出力されるものです。  
<テストCAN No.2B>
テストCAN No.2B回路図
  テストCAN No.2Bは、被テストIFユニットのアライメントに用いる出力検波器です。 アライメントの際には、被テストモジュールの出力にとって余計な負荷同調回路は邪魔なので(供試体M結合で干渉を受け同調点を見誤る)、単純なダイオード検波回路になっています。不良ディスクリからダイオードを収穫しましたが、一般的なゲルマニウムダイオードやショットキーバリアダイオードでOKです。MT管7ピン用のオスプラグを使うと手間が掛からず製作できそうです。

● 本テストセットの使い方サマリ

<テストCANの調整>
  これらは毎回は実施する必要はない操作です。 使い方サマリ

<実供試体のテスト操作>
使い方サマリ
(1)信号発生器の出力はいずれの場合も50mVとする。
(2)信号発生器の出力周波数が正確に読める場合はゼロビートによる周波数設定は不要。

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