●88mHコイルで作る+B用DC/DCコンバータの製作              (最新改定 2008-Nov-29)

  +B用DC/DCコンバータのトランスの線巻き作業は、+B側が数100回巻きとなり、EIコアのオープンボビンでも大変で、更にトロイダルコアに巻くのは相当の根性が要ります。 88mHトロイダルコイルは、ST-6の内部でFSK信号のディスクリミネータ等に使用され、オーディオ信号用ではありますが500回を越える巻き数に魅力があります。
  この記事は88mHトロイダルコイルに一次巻線を付加して簡単に作れるDC/DCコンバータを実験したものです。 なお、88mHトロイダルコイルに心動かされたのは Dennis Starks氏の UNIVERSAL INVERTER POWER SUPPLY, PART I;(web page) の御蔭です。

<方式>
  +B用DC/DCコンバータを自作された方ならお分かりですが、どのような回路方式であれ元電源の電圧範囲と複数の欲しい出力電圧を旨く適合させる設計は大変で、最後はトランス巻数のトライアンドエラーや、2次レギュレータでクロスレギュレーションから逃げるなどの方法になります。 今回は手を抜くため、定周波数PWM方式のスイッチングコンバータの石( ICを今だにこう呼んでいますHi )、TL494による他励プッシュプル回路としました。出力電圧との比較、その結果によるPWM出力の生成、そのためのクロック発振等をTL494がやってくれます。 88mHコイルはセンタータップを持っており、45Vと90V、67.5Vと135Vと言う真空管式軍用無線機で御馴染みの2倍関係の+B出力に充て、ドライブの12回巻きを2組だけ追加すればOKです。C電圧は+Bのグランド側をツエナーダイオードで浮かす方法で簡便に済ましてありますが、30回ほどの巻線を追加し整流回路を組めば単独回路もできます。
  TL494は古典的なICですが、富士通MB3759、NECuPC494などのセカンドソースも沢山あり入手には困りません。

<回路>
回路図です
  出力電圧保護、出力電流保護も無い比較的シンプルな使い方をしています。

  R5とR6による分圧比を変えることで供給電源電圧とは独立して出力電圧を設定できます。 供給電源電圧の最小値7VはTL494内部の比較電圧を作る回路からの制約です。

  なお、保護回路が必要であれば、設計の仕方は、 このNECのアプリケーションノート が参考になります (これ20年前のものですが、良く書けてます)。



<製作> 製作品です

  大阪日本橋共立電子のジャンクのガラエポ基板(端材)に組んでありますが、発熱も少ないので安い基板材料のものでOKです。 TL494のレイアウトは良くありません。これを見本に製作をなされる時は、90度回し配置してください。
2SB948Aの足接続はこれ です。
当局シャックの工作机でのテスト風景 です。

<PRC-6との接続例>

  使用例として、PRC-6との接続回路図を示します。電池記号は分かり易いように記入れてあるもので、決して電池との並列接続をしないでください。


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