●MABについて              (最新改定 2007-Sept-8)
  MABは、第2次世界大戦時代においてNAVYの落下傘部隊がパラシュートとともに胸に保持し、地上降下の後にアンテナを伸ばし相互連絡をとるために使用された短波帯の可搬送受信機です。 この趣味の方なら周波数範囲と内部構成を見て80mバンドで遊んでみようと思わずにはいられない楽しい機械です。なお、後継機はPRC-6だったようです。
 仕様
Frequency Range:2.3〜4.5Mc  Modulation :AM
Channel Spacing:50 kc  # Channels:1
Frequency Control:Xtal  Tx Power:200 mW
Handset:CTE-51042,CTE-49215  Antenna:CCI-66081
Power Source:CNC-19027A (dry batteryCRF-20221)
Mfr:Comco (Communication Company,INC.)
マニュアルに登場する運用姿の写真
こんな感じで使われたようです
 構成
こんな感じで使われたようです
  構成は左図左からアンテナ部、本体部、ヘッドフォーンおよびマイク から成ります。マイクロフォンは本体部から直接延びたケーブルで電源スイッチとともに付属しており切り離すことは出来ません。ヘッドフォーンおよびアンテナへの給電ラインはコネクタ(ブレークウエイプラグ)で切り離すことができます。
 送受信の切り替えはマイクロフォンに付いたPTTスイッチの接点により受信回路、送信回路を構成する真空管群のフィラメント電圧を直接切り替えることで行われます。
  本体部は7本の電池管(MT管)で構成され、受信部は、1R5(局発・混合)、1T4(中間周波増幅)、1S5(検波・低周波増幅)、3S4(低周波増幅)による所謂4球スーパー受信機です。 送信部は1T4(発振)、3S4(電力増幅)、3S4(変調)によるプレート変調(ハイシング変調)の3球AM送信機です。

 外観
外観ですがオリジナルは本体のみです
  上にいきなり構成から掲げたのは、本体部のみしか入手出来ていないためためで、外観写真もアンテナ部、ヘッドフォーンおよびマイクはオリジナルのものではありません。 
 本体ケースはボーディーとフタからなり、2本の指で廻せるビスにより勘合固定されます。ケースの材質はファイバーを練り込んだ樹脂で出来ており、外内形の勾配より射出成形加工によるものと思われます。 


 機構・構造
<ケーシング>
送受信機本体です
  ケース断面は「く」の字型に軽く折れ曲がっており、体にフィットし易くなっています。 「く」の字の中央に仕切りがあり一方(写真では右)に送受信機ユニットを、もう一方(写真では左)に専用電池を収納する構造になっています。 共にフタで押さえ込むだけで他の保持機構はありません。 また、送受信機ユニットの外部取合いは中央右の14Pコネクタ板(実使用11P)1つだけで、アンテナ、電池電源、オーディオ入出力の全ての信号がここにあり、フタ側のコネクタプラグとジカに勘合接続する構造です。
 電池の接続も同様に、フタ側コネクタプラグでジカ接続の構造ですが、入手品ではプラグ側のピンが腐食で欠損のため、写真の様に電線を延長して電池箱用の別コネクタを付けています。

<送受信ユニット>
送受信ユニットです
  送受信機本体は、この16×9×5cmの小さな弁当箱1つです。 写真はカバーを外した状態で、電池管ラジオによくあるシャーシ構造をしています。 


<受信系>
送受信機本体内受信回路側です
  受信機は4球スーパです。手前右から左へ順に、1R5局発・混合、IFトランス1、IFT1の背中側に局部発振1T4と水晶発振子、IF増幅1T4、IFトランス2、検波・低周波増幅1S5、低周波電力増幅3S4の配置です。

<送信系>
送受信機本体内送信回路側です
  送信機は2ステージです。手前左から右へ順に、アンテナカップリングトランス(M結合)、高周波電力増幅3S4、送信水晶発振子(2つある右側)、送信用発振回路IT4、変調電力増幅3S4、変調チョークです。 なお、変調チョークのケースには、カーボンマイク用のインプットトランスと受信低周波増幅の出力トランスの3つが一体でケース内に居ます。


■ ドキュメント
マニュアル      本文部分  (1151KB/pdf)  テーブル  (394KB/pdf)  図部分  (271KB/pdf)
完全なMABのお姿     RADIO " MAB & DAV "

 代替品の製作
<アンテナ>
自作の代替アンテナです
ローディングコイル
  ボディーはホームセンタにある木製の穴明き丸棒(パイプ)、アンテナロッドはSONYの大型CB機のロッドアンテナジャンク、ローディングコイルもジャンク箱にあったタップ付コイルとダストコア入りのIFTのようなもので作りました。

<電源電池>
代替電池電源です
  A電源は、2Vシールバッテリーのダイオードドロップで、B電源は006P電池です。 



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