最新改定 2004-July-05
PRC-10半導体化IFモジュールを作る
 PRC-10(A)半導体化IFモジュールついては貴重な2個のサンプルの解析でなかなかの物と判断できました。後、JA1ENC局の地の利を生かした代替トランジスタの調達と有志各局への当該トランジスタおよびレトロな半固定抵抗のドネーションによる動機付で製作活動が進んでいます。 (JH3FJA)
JA1ENC局 JA3DMO局 トランジスタ仕様 旭電機オリジナル

JA1ENC局
 旭電機工業のSS化オリジナル品では入力段をトランス結合とし、検波電圧の生成とトランジスタのベースへのリンクをうまくやっていますが、球のモジュールでの単巻きインダクタの複巻き改造は大変なため、コンデンサを操り同類の構成を実現されています。(JH3FJA)

<ENC方式バージョン1>
ENC版バージョン1回路図  改良してみました。ベース入力回路は、DMO方式の2番ピンよりベースに(Cカットで)直入力し、L101のホット側は51PFでグランドに落とし、L101を4.3MHzで共振させました。
スケルチ用マイナス電圧を得る為の検波回路は、ほぼそのままとしました。
 結果、やはりゲインが高くなり、エミッタ抵抗はそのままで、改良前の17dBから21dBとゲインが高くなりました。飽和出力レベルも、球ユニットと遜色ないレベルに改善されました。
 本ユニットのL101側を4.3MHzで共振させましたので、L101側で同調を取ると、L101の共振で、前段T101のリンク負荷インピーダンスが高くなり、TRのベース入力レベルも高なる為でしょうか?
L101でチューンすると、ブロードですが共振点で、アンプゲインにもピークが得られます。又、(-)電圧検波回路に、TRのベースがぶら下がらなくなりましたので(-)電圧検波回路の検波出力レベルも高くなり、改良前の2倍以上になりました。
ただ、(-)電圧を得る為の検波回路を含め、インピーダンスマッチングが未だ適正ではないものと思われ、L101のチューンが、アンプゲイン最大点と、(-)電圧検波出力最大点とでは、微妙にチューンがずれます。
 本改良後、選択度以外(未だ調べていませんので)の諸特性については球ユニットとほぼ遜色ない特性が得られたのではないか?と思っています。
実際、P10の5TH IFに使って見ても、球ユニットとオーディオ出力レベルに変化はありませんし、ノイズレベルが高い状態でスケルチをかけても今度はスケルチがロックする事は無くなりました。 (2004-July-03 JA1ENC)

<ENC方式バージョン0>
ENC版バージョン0回路図  製作は、入出力トランスおよび回路図中に部品番号を入れたパーツは、そのまま流用しました。 ざっとした特性は、ゲイン:17dB 消費電流:1.9mAです。(ゲインの測定は、以前のメール内容の方法です) 球のユニットの平均的ゲイン:20dBと比べると少し低いです。 飽和出力レベルも約4dB程低くなっていますのでP10の5TH IFに使うと、AFレベルが球のユニットに比べ少し小さくなります。
 スケルチ動作はちゃんとしますが、ダイナミックレンジが狭いようで、外部アンテナを繋いで、ノイズレベルが高い状態でスケルチをかけると、スケルチがロックします。 もう少し時間をかけ、カットアンドトライすれば使える様になるのでは?と思いますが・・。 (2004-May-30 JA1ENC)

JA3DMO局
 「元部品は骨までしゃぶり付加部品は最少に、工数少なく楽しみ多く」がコンセプトになっているようです。CAN入力端へのベースDCカット無し、ベース負荷はあっさり単純インダクタンスでの実験から始められています。(JH3FJA)

<DMO方式改良版>
DMO方式改良版回路図
 参考までに、現在試験中の回路図を添付します。
(2004-July-05 JA3DMO)

<DMO方式バージョン0>
DMO版バージョン0回路図  5678、C101、L102を除去し、2SC2632、半固定ボリューム、ツェナーダイオードの3点を加えただけです。
 B電圧54Vにて消費電流を2mAに設定。例のテストアダプタを用いて、利得はおおよそ20dBオリジナル良品の0.5dBダウンです。1石ではゲイン不足と思っていましたが、結構稼ぐもんですねぇ。
 6dB帯域は±50Kcぐらいでオリジナル同等。しかし、スカートが1.5倍ぐらい広い。やはり、復同調にしなければ駄目かも・・(2004-Jun-23 JA3DMO)

 C102Aに0.01μFを並接するとゲインが6dB向上、オリジナル同等の20dBに抑えるため、半固定抵抗を調整、Icを0.6mAに減じたところ、選択特性が格段に向上しました。
 6dB帯域幅  約100Kc(球のモジュール約100Kc)
 40dB選択度 約185Kc(球のモジュール約180Kc)
改善前は約300Kcでした。
 なお、テストアダプタは前置にオリジナルAM−427、検出にもオリジナルAM−427を使用しており、それらの特性を相乗したデータであり、改造品単体のデータではありません。また、本体実装の評価はこれからです。(2004-Jun-28 JA3DMO)

<DMO局方式をJAM427でやってみる(JA1ENC)>
DMO局方式をJAM427で(表側)  JA3DMO局に触発され、DMO局バージョンを試して見ました。 この改造方法は、ご機嫌ですね! 球を取り去り、TRとエミッタVR及びツェナーを取り付け、若干配線を弄るだけで済みます。
 ベースはJAM427を使用しましたのでスクリーングリッド用のCも付いていましたので、新たな部品はTRとエミッタ側のVRおよびツェナーを追加しただけです。 (回路は、極一部変更し、C101はそのまま生かしています)TRは、2SC2632が入手不可能となりましたので、入手可能の2SC2230Aを使用しました。
 結果、消費電流:0.99mAで、ゲイン:20dB得られました。これはご機嫌な値です。 手持ちの球のユニットで、ゲイン:20dBは得られるものの、最も消費電流が少ないユニットは、1.4mAです。
 現在、このDMO局バージョンをIFステージ初段に挿し、ENCバージョン?を5TH IFに使って試していますが、全く問題ありません。
フィラメントを飛ばしたユニットがあと4本ありますので、後日開缶して改造し、1STIF〜4TH IF迄はDMO局バージョンとし、5TH IFユニットはENCバージョンで、IFステージをオールSS化してみたいと思っています。
(2004-July-4 JA1ENC)
DMO局方式をJAM427で(裏側)

トランジスタ仕様
 旭電機オリジナルで使用の2SC273は、古い業務用無線機内部でよく見かけますがトランジスタ単体の入手はもう不可能です。 代替として非常に近いものとして小型ブラウン管テレビなどでポピュラーだった松下の2SC2632があります。 これも秋葉原での在庫は私達が買ってしまったようで、地方の隠れ市場在庫(アフターサービス系)にしか無いと思われます。
 比較的入手が楽なのは2SC2230Aで、サトー電気でも通販できます。(JH3FJA)

区分 Type Mfr NPN PNP Vmax Ic MaxAmp Pmax W hFE Ft MHz
2次互換 2SC2230A 東芝 n-p-n 160 0.100 0.800 120 50
1次互換 2SC2632 松下 n-p-n 150 0.050 1.00 90 160
オリジナル 2SC273 NEC n-p-n 120 0.050 0.500 50 150

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